私の仕事物語パート1 努力と成長編
上場重電機器メーカーでの怒涛の12年。
やる気も能力も常識もない私が、上場重電機器メーカーの事務員として何となく入社したところから、この物語は始まります。
幸いなことに私を待っていた上司は、人を育てる天才のような方でした。
上司は毎朝「ゆいちゃん、おはよう!」と自分から挨拶し続け、暖かい言葉をかけ続けてくれました。
すると会社が楽しくなりだし、できることを率先してやろうと思えるようになっっていきました。
今、人へ応援することを仕事にしていく下地は、この上司との出会いにあったのでした。
そんな上司の理解と教えに支えられ、技術的な仕事を少しずつ覚えて縁の下の力持ちを自負するようになった25歳の頃、社長の目にとまり、全ての取締役が反対する中、業界初の女性技術営業職として試験的にデビューすることになりました。
その時、社長からは「お前が通用すれば女性の営業化を推進する。期限は3年だぞ。失敗したらお前の居場所はないと思え。頑張れ」と言われて 送り出されました。
その言葉に奮い立ったものの、待っていたのは厳しい現実でした。
女性営業が皆無な時代、業界初の女性営業は当初は注目こそされましたが、全く誰からも相手にされない日々が続きました。
技術を身につけたと思ったのも幻想で、実際は技術力なし、力仕事が主なのに力もなしという、自分の甘さも痛感し続ける日々が続きました。
そんな中、必死に何か突破口はないかとお客様を観察してみると、お客様が最も困っていることとに、私が役立てることは「時間管理」だと思い至りました。
建物を施工するには、施主、設計事務所、建築会社、電気設備会社等がチームを組んで仕事を進めます。
設計図をもとに打合せをしていくのですが、多くの現場が、上の指示に逆らえず、急な変更や無理な変更などで担当者が困りに困るのが実情で、スケジュールはあってなきがごとしでした。
ですが、弊社の製品は、建物の心臓部ともいうべき重要な位置付けで、数万点から数百万点に及ぶ部品一つ一つに納期があるなか、打ち合わせで急に変更になることで納品が間に合わなくなる事態が日常的に起こっていたのです。
そこで私は、施工管理に活路があるかもしれないと考え続け、ある日、思いついたのです。
題して「針の眼作戦!」
納期をしっかり伝え約束を守らせるという非常にシンプルなものですが、徹底することがお客様のためになるものの、業者の立場では言えない営業マンばかりだと気づき、言う価値ありと思ったのです。
約束する怖さを知らなかったことが功を奏して、真っ向からお客様に対峙できたのは、今、思うと笑っちゃうけど、あっぱれでした。
約束させて、こちらも約束することは、「針の目」に糸を通すようにスケジュール通りに仕事を進めることになりました。
時に顧客と喧嘩もしましたが、だんだんとこちらの誠意が通じ、私が担当した物件は、他の営業マンの担当物件より群を抜いてスケジュール通りに仕事が進むようになり、行政物件では私が担当したお客様が優良施工業者として表彰される割合も多くなっていきました。
しかし、うまい具合にいかないものです。
好循環を生み出した私はさまざまな「嫌がらせ」を受けるようになってしまいました。
それも社内の人間から。
最も手ごわい「敵」は、身内だったのです。
くわしくは書けませんが、お客様に迷惑が及ぶことも厭わない彼らの嫌がらせは強烈でした。
そうしたイジメとも言う体験から私が学んだことは、対峙しないこと。味方を増やすこと。物事を大局で見ることの3つでした。
私はその後、「反撃せず相手に利を持たせる」コミュニケーションに徹底しました。
もちろんいじめる人は悔しかったけれど、あえて逆らわず、自分の意図することに集中することをやり続けました。
こうした取り組みが実を結び、私自身の信用力アップもさることながら、その後の女性の部下指導にも役立っていきました。
そうして私は、業界初の女性営業から始まり、社内初の女性管理職第1号になり、営業業務、部下育成、新規工場の立ち上げなど、次々にステップアップする機会に恵まれました。
いま振り返ってみると、怒涛の13年間で学んだことは、
「常識なんてクソくらえ!」
ということでした。
人はだれでも可能性に満ちています。
常識をとっぱらい、自他の可能性を大きく広げることを実体験として私はこの時代に学びました。
(パート2につづく)
Comment
ゆいさん、こんばんは。
興味深く拝見させていただきました。
「針の眼作戦」は、単純ながら、実現するのは手こずる手法ですし、「反撃せず相手に利を持たせるコミュニケーション」は、逆転の発想ですね。これはマネできません。
それと、なによりも、ゆいさんをやる気にさせ、能力をフルに発揮させた上司の力は驚きです。そんな上司になってみたいものです。
としちゃん、ありがとうございます。
「針の眼作戦」確かに大変でしたが、効果絶大でしたよ(笑)
ぜひ、お試し下さい♪
上司に育てられた部下達は私だけでなく、皆さん、成果を上げ、部下を大事にする上司になっていきました。
私がコーチ型上司が増えたらと願う原点です。
ぜひ考えて頂けると嬉しいです。