第61号 子どもを支援する
先日、「ことばキャンプ」母体のNPO法人JAMネットワークが神奈川県と共催事業として、5年間行ってきた児童養護施設の子供達の自立支援事業の報告会に参加しました。
集まったのは、施設に関わる様々な人たち、施設を卒園した若者達、一般の親御さん、社会的養護に関心のある人達などなど。
会場に足を踏み入れて、感じた空気感を一言で表すと
「真剣さ」
子ども達をどう支援するか、より良い支援について考えたいという思いが会場全体に溢れているような、そんな場でした。
そうした空気の中、私が感じた最初の問いです
「子どもをどう支援するか?」
皆さんは、どう答えますか?
いろんな場面、事象があるでしょうから、答えは様々と思いますが、
基調講演をしてくださった神奈川県保健福祉大学の新保教授のお話を伺い、
大いに心に響いたので、私流にアレンジしてシェアしたいと思います。
さて、私は、時々お母さん達からこんな声を聞きます。
「子どもは私との約束を破って〇〇をした。だから、その責任を取らねばならない」
その対象の子どもとは、5歳だったり14歳だったり9歳だったりと、年齢はバラバラです。
ですが、共通しているのは一つ。
言ったこと、やったことは本人が責任を取るべきだ!
ということです。
私も自分の子育てを振り返ると、このセリフ、すご〜く分かります。
例えば、子供の為と思って、正したい行動について子供とも話し合ったのに、
またやった!なんてことが起きたら、えらく腹が立って、そう言いたくなる
のは、そうそう、と思います。
でもね、こんな話を教授はされていました。
「行為をする」前には、何らかの経験があり、認識、判断が潜んでいる。
行動する前には、やる意味(認識)があって、しようという判断があって、行動を起こすワケなので、やった行為しか見ず正そうとしても、行動修正は難しいという意味です。
勿論、バツを与えることで強制的に修正することも必要な場合はあります。
命に関わるようなこととかね。
ですが何でもかんでも、強制修正を強いたら、どうなのでしょうね?
さて、そこで2つ目の問い。
何のために子どもを支援するのか?
これ、コーチングの支援技術でも最も大事なフェーズです。
何のために(目的)、何に向かって(目標)するのか?
子育てだって同じ。
日々忙しいでしょうけれど、やはり、子どもとの関わりは何のためにするのか?
こうした意識を心に抱いて、接することが大事なのです。
さて、教授の教えに戻ると、その答えは、
子ども自身が自己決定ができるようになっていくために支援する。
大人になると、私たちは毎日選択だらけ。
誰も「こうしなさい」とは言ってくれません。
自己決定の連続です。
ことばキャンプ代表の高取しづかさん曰く、
「私たちは日々300位の選択を大小様々している」と言います。
当たり前ですが、行動を起こすには自分が選択し、決定して行動している訳です。
ですが、子供のうちから決定を下せるわけではありません。
何度も何度も自分がした決定について、トライ&エラーを続けながら
より良い決定ができるようになっていくものです。
その自己決定ができるようになるために大事なのが、大人がどう支援していくかです。
大人だって子どもだって、人は皆、刻々と変わっていきます。
だから、子供がそう言ったと言ってもそれは永遠のことではなく、よくも悪くも変わっていくのです。その「変化」を支えるのが、どう支援するか、です。
支援していくためにとても大事な視点は、目の前にいる我が子が、過去にどんな経験をしたのか、そこからどんな判断をしがちなのか十分に加味して支援していくことだと教授は仰っていました。
更に、大事なことは修復可能な失敗体験をさせること。
そこから、学び、本人の勇気を引き出し、新たな判断をしていくという体験学習を起こすことが大事です。
こうしたトレーニングをしていくこともとても大事です。
ことばキャンプでは、こうした子供自身が培っていくために「度胸力」「論理力」「理解力」「応答力」「語彙力」「説得力」「プレゼン力」として、7つの力と位置づけ、身につけていくためのトレーニングを行なっていきます。
そうしたこどもキャンプを受けてみた子ども達は、どうなっていくのか?
今回の5年にわたる施設での実施報告では、
最初は、自信がない、座っていられない、配慮できない、発言できない、自己中心的な言動を繰り返す、などの子供達がトレーニングを通じて変化した軌跡を施設の職員の方達の実感を伴って教えてくださいました。
例えば、
勝手な振る舞いをする友達に「ダメだよ」と声をかけられるようになったり、
自分の考えを発言できるようになったり、
上の子が下の子を面倒見るようになったり、
自分の将来に対して考えられるようになったり、
そのために今、何をしたらいいのかを考え、行動を起こしたりと。
そして、私が一番感動したのは、
支援を受けていた子ども達が支援する側に回っていったということでした。
更に、大人である職員さん達も変化していったのだそうです。
ことばキャンプのワークを大人同士も取り入れながら、自分たちに欠けていた視点を自ら学びあい、言動も変化していったそうです。
講演も然り、多くの実体験をたくさん伺いながら、帰る道々思ったことを最後に言わせてください。
施設の方達の発表を伺い、純粋に子供たちを愛し、応援しようという思いの深さに心が揺さぶられました。それに呼応しながらことばキャンプのスタッフも真剣に応援していることも知りました。
やっぱり、この世は、愛が動かしていくんだ!
心の中にある愛を、どう表現していくのか、スキルを生かしていくかが大事なんだと、思いました。
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今日もお読み頂き、ありがとうございました。